生理不順・生理痛

 生理不順(月経不順・続発性無月経)

これまであった月経(生理)が、妊娠していないのに3ヵ月以上停止した状態を続発性無月経といいます。
無月経となる誘因は減食による体重減少が最も多いとされています。その他には精神的ストレス、過度のスポーツ、受験や進学、就職など環境の変化なども続発性無月経の誘因になります。
血液検査でホルモン状態を確認することで、重症度を判断し、治療方針をきめます。
続発性無月経の治療については、最終目標は排卵周期の回復ですが、未婚女性の場合は必ずしも排卵誘発が必要なわけではなく、進学・就職・結婚などのライフスタイルに合わせた中長期的な治療法を選択します。大切なことは治療を継続すること、すなわち定期的に月経が起こることです。
思春期の続発性無月経の治療の基本は、誘因除去を試みながら、ホルモン補充療法をおこないます。特にダイエットにより、低栄養、低体重が生じると、骨塩量の減少につながりますし、無月経の期間が長いほど骨密度の減少の程度は深刻化します。放置すると将来の骨粗しょう症や骨折の発症の誘因になりえますので早めの誘因除去とホルモン補充療法が必要です。

 生理痛(月経困難症)

月経困難症は、年齢が若いほどその発症頻度は高く、25歳未満では約4割に月経困難症がみられるとの報告があります。その多くが機能性、すなわち明らかな病気がみつからないタイプのものです。ただ、最近の研究では、機能性月経困難症の中に子宮内膜症の初期病変が認められたり、機能性月経困難症と診断されていた女子が将来子宮内膜症を発病しやすいとの報告もあります。
超音波検査など画像の検査をおこない、子宮内膜症の診断(除外診断も)を行います。内診が苦痛な方の場合、おなかからの超音波検査も可能ですのでお気軽にご相談ください。
思春期の月経困難症の治療は、① 鎮痛剤などの対症療法、② 低用量ピル(OC)あるいは低用量エストロゲン・プロゲステロン製剤(LEP)のホルモン療法、③ ①と②の組合せ、になります。
ホルモン療法は月経困難症の改善以外にも①月経周期が整う、②月経血量が減少する、③にきびの改善などの副効用が認められています。また、子宮内膜症の原因と考えられている、卵管をつうじて腹腔内への経血の逆流も減りますので、子宮内膜症や将来の不妊症の予防につながる可能性があります。

月経困難症、過多月経の治療法として子宮内に「ミレーナ」という器具を装着する方法があります。

挙児希望があるかた、おおきな子宮筋腫や子宮内膜症などがあり、子宮の変形がみられる場合は装着できないケースがありますが、装着すると月経痛や経血量を減らす効果があります。5年間は有効ですので月経痛の緩和もしたいが同時に長期の避妊効果も期待できます。

まずはご相談ください。

生理前後のイライラ(PMS、PMDD)

生理前にイライラしたり、気分が落ち込んだり、さまざまな自律神経失調症状が見られるかたがいらっしゃいます。

排卵や生理にともなうホルモン変動と自律神経とのバランスがとれず、自律神経失調症状が強くなる場合は、低容量ピルや卵胞ホルモン・黄体ホルモン剤などのホルモン療法をおこなって変動を緩やかにするか、漢方療法など自律神経の症状を緩和するかのいずれかが有効です。

 多のう胞性卵巣症候群

月経不順、排卵障害などが主症状で、3割程度に多毛(産毛の増加)、肥満傾向がみられます。ホルモン検査、超音波検査で診断します。
挙児希望のない場合は月経不順の治療に準じますが、肥満を伴う場合は耐糖能異常や脂質代謝異常、いわゆるメタボリック症候群に移行する場合もあるため、多のう胞性卵巣症候群と診断されたら、生活習慣の改善が必要な場合があります。
婚姻し、挙児希望のある多のう胞性卵巣症候群のかたの治療は、排卵を促すこと、ほかに不妊症になりうる誘因がないことを確認することです。排卵誘発剤は内服薬が第一選択薬です。排卵誘発効果を確認し、排卵誘発法として不十分あるいは一定期間妊娠に至らない場合は卵胞刺激ホルモンの注射薬に変更あるいは内服薬との併用療法が必要です。病態に応じた排卵誘発法が必要となりますので、ご相談ください。

こじまクリニックの治療方針

治療の原則は、ご本人の治療目標をまずお聞きすること、ならびにご希望に応じた治療方針を立案することです。

たとえば、月経不順があるものの挙児のご希望がない方には月経がきちんと整うような治療をおこない、挙児希望がある方には安全な排卵誘発法をご提案します。

月経痛がみられる方には、まず原因検索をおこない、随伴する症状(月経量が多くて困っている、挙児希望がある)などを加味し、ご希望に応じ、対症療法、ホルモン補充療法、場合によっては不妊治療を行います。

多のう胞性卵巣症候群の治療方針は、基本的にはホルモンのアンバランスを整えることが必要です。ホルモン補充療法でホルモンバランスを整える、挙児希望のある方は安全な排卵誘発をおこなうことです。

こじま院長は大学院在学中は主として思春期月経異常の研究をおこない、米国留学中は多のう胞性卵巣症候群の病態研究を、帰国後は基礎研究を活かした排卵誘発法に関する臨床研究をおこなっており、思春期月経異常、多のう胞性卵巣症候群女性の月経調整や安全な排卵誘発ならびに不妊や家族計画に対する治療を手掛けています。

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